7月2日地質観察会「三陸ジオパークの地質を読む」が野田村米田海岸・久慈琥珀博物館および琥珀採掘体験場で実施されました。
この観察会は岩手県立博物館の主催で、盛岡地区を中心に岩手県内、秋田県や八戸市からの参加もありました。
北三陸ジオパークからはガイドの島川・会員の阿部両名が特別参加させていただきました。
午前10時野田村役場前広場に集合、関係者を含む総勢40名の大グループとなりました。
観察会受付、プログラム・コース説明後さっそく野田村十府ヶ浦南端の米田海岸に向かい、珍しく30度近くの快晴と暑い中、岩手県立博物館望月貴史学芸員の解説で白亜紀後期の久慈層群玉川層・国丹層中の化石や地層の観察となりました。
暑いとはいえ快晴っで爽やかな海端スタート、途中砂岩層中の生痕化石「ポリクラディクヌス」のY字状の巣穴や断層、砂岩層の模様(堆積構造)など確認、残念ながら通常時より意外と波があり玉川海岸へは遡行できませんでしたが、小学生も含む参加者の皆さんは興味津々で解説に熱心に耳を傾けていました。
帰路は地元で「ツブタ」或いは「アツイ浜」と呼ぶ浜入口で岩手県地学教育研究会会員で盛岡市立高校の小野寺弘幸教諭が北海道大学の平川一臣名誉教授とともに調査し、津波堆積物剥ぎ取り標本を作製した現場の地層を解説とともに観察しました。
約7,000年間に亘る堆積物層序の中に18回近くの津波堆積物が確認できること、約5,400年前の十和田中せり火山灰の厚い堆積が確認できることなどに驚きの声が上がっていました。
現地で確認した津波堆積物層序の奥の松林にも層序が確認できること、津波来自の方向は南だけではなく、北の北海道方向にも注意されたい事、津波堆積物層序の剥ぎ取り標本を学校教育の中で防災教育に活用したいことなど今後の思いも話していただきました。
この後松原の中で、昼食・小休憩を取り久慈琥珀博物館へ移動、午後の暑さにも負けずに琥珀採掘体験に挑戦、体験場の炭化物の層面を中心に琥珀獲得目指して一心不乱に掘りますが、あいにく現在はやや硬い炭質層で、ピックの進み具合が悪く中腰のかなりハードなチャレンジとなりました。
それぞれに成果物を確認し、15:00過ぎには散会、博物館自由見学後帰路につきました。
今回小中学生も参加していて、これに懲りず次回にはビッグなお宝を見つけてほしいものです。
久慈層群観察に参加した皆さん、お疲れさまでした。また久慈に是非いらして下さい。
次回には久慈のジオサイト・ポイントも案内させていただきます。ご希望の方は、このサイトの連絡先までお問い合わせください。(島川)
*久慈層群を構成する玉川層・国丹層・沢山層は、中生代白亜紀後期(約6,600万年~1億50万年前)の内、フランスワイン産地を模式地とする国際的年代区分「コニヤッキアン」「セイントニアン」「シャンパニアン」=約8,980万年~7,210万年万年前に相当すると言う。種市層群も同じ白亜紀後期の地層。
*小中学生、関係者も入れて約40名の参加者の皆さん。
時として琥珀に出くわしますが、ここは国立公園の保護区域内で、むやみに採取することはできません。
右手にぐるりと廻れば玉川海岸、脚元が波に洗われ遡行かなわず。
津波堆積物層序について解説する小野寺教諭
津波堆積物層序の剥ぎ取り標本
久慈市小久慈町の久慈琥珀博物館
さあ、いよいよ琥珀採掘体験場へ!
陽射しの強い中、皆さんご苦労さんでした!
150320 津波堆積物観察会~平川先生、大石先生、小野寺教諭~北三陸ジオパーク推進連絡会
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