花巻市在住の若山拓也さんが、30年以上三陸沿岸に通い撮影した風景写真が久慈市侍浜町の旧麦生小・中学校校舎を「芸術村」として運営する「あ~とびる・麦生」で展示されています。
若山さんは、大宮市出身で秋田大学鉱山学部大学院に学び、いったん関東方面に就職したものの、岩手に居を構え光学機器メーカー勤務の傍ら各地の写真撮影を続けています。遠野市などでも個展を開催していて「あ~とびる・麦生」での開催は昨年に続き二度目となります。
これまで撮りためた作品から、ジオパークにも通ずる三陸海岸の心象風景約25点を展示しています。自然科学を学んだ方なので、作品を観ますとジオパーク的な共通視点が感じられるところです。
「あ~とびる・麦生」では、油絵、デザイン、彫刻、造形、写真、書道、インスタレーションなど多彩な作品が展示されており、お神楽舞や歌・器楽コンサートの他、いろんなワークショップも催されていて、久慈地域の芸術活動の一拠点ともなっています。
また、久慈市侍浜町麦生地区も三陸復興国立公園「みちのく潮風トレイルロード」のルート上になりますし、青森県八戸市~岩手県沿岸~宮城県気仙沼市の16市町村で構成する「三陸ジオパーク」のエリアとなっています。
「あ~とびる・麦生」へは、国道45号線より久慈市夏井町で県道279号へ入り、市街地から20分余り、久慈市夏井町より10分余りで到着します。
久慈市半崎地区の国家石油備蓄基地の工事トンネルを活用した久慈市地下水族科学館「もぐらんぴあ」から半崎集落の坂を登って県道279号線に入るルートも選べます。
グループで半崎の野田層群堆積情況や「もぐらんぴあ」見学、久慈湾を眺めながら「あ~とびる・麦生」までウォーキング、見学後は麦生集落下の漁港まで坂道往復のコース可能ですし、麦生岬への途次幕末の砲台場観察~厳島神社に廻り、断崖絶壁下の麦生漁港や岬突端の牛島遠望を楽しむこともできます。
みちのく潮風トレイルロード~麦生集落から北の本波、白前、横沼方向の下見も一案かも知れません。
厳島神社は、安永四年(1775)東廻り海運に従事した現地の人、桝森丹治が安芸の国(広島)より観請の由来があり、江戸期盛岡藩や八戸藩の絵図にも「水尻澤」や牛島の久慈湾側くびれの部分「大間」の地名が登場しています。八戸藩の記録では、たたら鉄製品や、木材、大豆、琥珀ざく、鰯の搾り粕、雑穀、塩魚などなど各種産品が東廻り海運で関東・江戸市場などに運ばれ、帰り船で木綿や竹材、お茶、砂糖などの東北で産出できない必需品などが移入されています。
18世紀後半は、北三陸各所で市場を意識した地域産業が盛んになり始めた時期で、麦生厳島神社建立の桝森丹治も、諸産業の勃興期に活躍した地域の先達と考えられます。
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